平成27年8月8日、土曜日午後2時から4時まで。
ジョブコーチ安井さんを囲む会
参加者:S、G、Y、B、M、T
安井さん自己紹介
愛西市のNPO法人 障害者雇用創造センターという複合型障碍者支援事業所(A,B型就労継続と就労移行が複合)でジョブコーチを担当している。センターではA、B、移行が複合しているメリットは大きい。場所は違うが、同じ建物内であるので、共通の一連の仕事をすることができる。BからAに行きやすい。就労移行から一般就労へも行きやすい。母体としてビジネスソリューションというダイレクトメール発送の親会社がある。一般の事務職をみることができる。営業の電話応対や事務の仕事を身近にみられる。ダイレクトメール発送を細かくいくつかの仕事に分けている。折る、数える、袋に入れるなどをA,B型で協力しながら運営している。また、まきの木コーヒーというモーニング専門の喫茶店を9-13時に開いて、障碍者の就労のための訓練を行っている。
このセンターでは「つばさ」という障害者のための求人情報誌を無料で提供している。一般企業、就労継続、就労移行等、数百カ所に送付している。
その他の参加者自己紹介
尾張の自助会の当事者サポーター、鬱を克服した、市民活動センターでボランティアのとりまとめを担当している。
(そのほか略)
講演内容
1)ハローワークでの障害者の新規登録数
平成25年1万2千人から平成26年1万660人。
そのうち、知的障害者は1700人ぐらい(17%)で横ばい。
身体障害者は3000人ぐらいで横ばいだが、割合でいうと低下している。
精神障害者は登録が多く約50%の5005人で、増加している。
残り5%は、手帳を持つか持たないかグレーなひと、医師の意見書でハローワークの障害者コーナーを利用している。
精神障害者では、30-40歳代が一番多く、40-45歳が45%を占める。
発達障害者は最近認知されてきた。自分自身でも発達障害に気づかない人もいるが、二次傷害に鬱などを併発している人も多い。
身体障害者では60-64歳が多く、知的障害者では20-24歳が多い。
2)就職件数
26年実績は5373人。
企業へ就職するより、A型作業所への就職が多く、43%を占める。A型作業所はステップアップの途中としてとらえる場合が多い。
◆就労支援
面接にジョブコーチが同行する。鬱になりやすい、苦手なことがある、配慮が必要である等を面接で伝えて理解してもらう。
障害者職業センターのジョブコーチも活用できる。
愛知県は財政的に余裕があり、A型作業所が非常に多い特徴がある。
A型など福祉的就労をしていると、精神保健福祉士(PSW)や相談支援員がサポートしてくれる。そのためジョブコーチとしてではなく就労支援として支援に入ります。
◆定着支援
一般企業に就職した場合にジョブコーチを必要とするケースが多い。一日も長く職場に定着して働くことを支援する。統合失調症患者の場合、安定していても半年程度の体調の波を持っていること多いため、入社して6ヶ月程度経ったからトラブルが発生するケースもある。
まず、主治医に当事者の特徴を確認する。意見書をもらい、短時間労働が可能であることの見立てをもらう。
障害をどこまで開示するかということも面接で聞かれる。
どこまでお伝えしていいですか?と会社側に聞かれるケースが増えてきた。
開示こそが障害者雇用の特徴で自発的にオープンにすることで自分が楽になるという意見もあった。
当事者がどんな人か、障害の特徴を見極める。(アセスメント)がジョブコーチの第一歩だ。当事者の苦手な部分を補えるようにする。本人が苦手意識をもっていることと、客観的に苦手部分は異なることもある。
定着支援はいつまで支援するか?
1ヶ月、半年、1年、2年、3年という区切りがあり、3年で完全に定着したとみなせる。安井さんのコーチした卒業生では3年定着がようやく一人。
ジョブコーチは当事者の特徴を理解して、職場で変化があれば適切に対処することで職場定着を支援する。なにか変化があればすぐにジョブコーチに話せるような関係になることが大事だ。
併走、伴走型の支援だが、徐々に距離を離していく。会社側の人も巻きこんで相談する。会社側の担当者と情報交換する。一般的に当事者は会社の上司に自分のことを伝えるのが下手な人が多い。
障害に甘えるなど、会社勤めでは許されないことは当事者に最初に説明する。
これは、社会人になって病気になった人と学生時代に病気になった人で異なる。学生時代に病気になった人には職歴がなく、より手厚い支援が必要である。
障害者は一般に敏感すぎて言葉や物事を被害的にとらえてしまう傾向がある。強く聞こえて嫌な思いをして傷つくことがある。
当事者が働く場合、本人の努力、会社の配慮だけでは難しい場合がある。そこでジョブコーチが当事者、企業、(時には家族)の間に入ってサポートする。
最初の1週間は毎日集中的に訪問する。その後1,2ヶ月は当事者と企業の訪問を定期的に続ける。個人差はあるが、次第に1ヶ月に1度、2ヶ月に1度の訪問にして距離を離す。
家族のサポートは基本的に数は少ないが、毎日見ているだけに、協力があると日常の生活リズムなどの様子がわかる。
その後、フォローアップは1年3か月から1年6ヶ月。
障害者職業センターのデータではフォローアップ期まで定着した場合、90%はその後6ヶ月も定着している。
ジョブコーチの課題
当事者との信頼関係を築くことが大事。悩み事を聞き出す力だ。
そのほか、企業側から障害者雇用に関する質問もあるので助成金、補助金の基礎知識も必要だ。
企業が障害者雇用していてもジョブコーチの介入に消極的なケースが難しい。一般のジョブコーチは1号だが、企業内で勤務する2号ジョブコーチも今後増えていくと思われる。
Q 仕事をする上でもっと身に付けておいた方がいい力とは?
A 何のために働くか、目的をはっきりさせる力を持つべきだ。
最後にひとこと
安井さんのいる事業所の話が聞けて良かった。
仕事をするときに大事なことを教えてもらった。
貴重な話をどうもありがとうございます。
久しぶりに自助会に呼ばれ、みなさんの笑顔がみれてよかった。